VOICE12| 2016年12月

自己と向き合う家

考究して辿り着いた、無駄のない白色の家。

─ 青葉区 No.164 HAKU

住  所:
横浜市青葉区
構  造:
木造地上3階建て
敷地面積:
135.47㎡
建築面積:
52.71㎡
延床面積:
88.63㎡
建築事務所:
一級建築事務所saji建築設計室
設計監理:
一級建築事務所saji建築設計室

Q. この家での住み心地はいかがでしょうか?

奥様「住み心地はバッチリです!2階は日当たりが良いので、冬はポカポカで暖房がいらない時もあります。夏はやや日差しが強いので、モルタル床の1階フリースペースで、ひんやり心地よく過ごしています。常に同じ場所をリビングにするのではなく、あえて用途を決めていない部屋を作ったことで、1階2階で住み分けを楽しめています。」 旦那様「大開口からの借景で、季節を楽しんでいます。狙った通りではあるのですが、新緑や紅葉に加え、春には目の前で桜が望めて気持ちが豊かになります。」奥様「景色に拘り、神奈川県中を回りましたが、正面の緑のプラタナスの木は、ここならこう切り取って・・というビジョンが浮かび、決めかねていた土地の決め手にもなりました。」

Q. 細部までこだわって生まれた家ですが、特に気に入っている所はありますか?

奥様「家の中に一ミリも無駄な所が無いのが気に入っています。賃貸だと、どうしても自分には必要なかったり不足するスペースがありますが、自分の体のサイズに対して広すぎず、狭すぎないようにしたいと思いました。そのために、賃貸住まいの間、良い所や嫌な所を洗い出しました。また、洗剤などの日常使いする物の大きさを測ったり、どの位のストックが十分量か絶対値を決めていきました。」 旦那様「私は、帰宅してリラックス出来るバスルームが一番ですね。“那智黒”という地元の石を置いた庭が見えるのですが、その石に光の筋が入る光景は落ち着きます。入浴中に光を感じるという事は今までありませんでしたが、とても良いですね。」 奥様「我が家含め、稼ぎ頭が夫の場合、妻の在宅時間が長いご家庭も多いと思いますが、時間に比例して私の希望ばかり優先すると満足度のバランスが崩れてしまう。在宅時間が短い夫にこそ、“帰りたい”と思える空間を・・・と、実用性と別でホスピタリティも大切にしていました。」旦那様「実際、仕事が終わるとすぐ帰りたいなと思いますね!」

Q. 建築家の決め手や、建築家との家作りはどうでしたか?

奥様「家に対する要望は固まっていたので、予算を抑えつつきちんと設計して実現してくれる方なら良いなと思っていました。建築家が集まる、とあるワークショップに参加した際、渡辺さん(建築家)と出会いました。私の兄が元々設計関係の仕事で、事前に“依頼するなら若手で自立しようとしている方は、考えが柔軟で伸びしろがあっていいよ”と聞いていたのですが、まさにそんな方で、とても話しやすく、一緒に家作りするビジョンが浮かぶ方だったので、お願いしたいと思いました。建築家との家作りはとても楽しかったです!渡辺さんは会話から上手く拾って下さる方で、自分の要望をニュアンスまで伝えきれるか、伝えないと実現しないのでは・・という心配やストレスが全くありませんでした。好きなテイストが似ていたのも良かったですね。」 旦那様「私も楽しかったですね。初めは、建築家は敷居が高くて、都会のお金のある人が作るイメージでした。でも、始めてみたらそういう事が全然無かった!打ち合わせの回数は多いですが、一つずつ解決して進んでいるのが感じられたし、気持ちをくみ取って進めてくれたので、置いてきぼりな感じもなく、本当に楽しかったです!」

Q. キクシマに依頼して頂いた経緯をお聞かせ下さい。また、実際に依頼していかがでしたか?

奥様「色々と家を見ていたのですが、雑誌の掲載や、街中で見かける“いいな”と思う建物は全てキクシマさんの施行でした。それで、施工はキクシマさんにお願いしたいと思っていました。現場監督さんは、とても人柄が良く、困った事を必ず解決してくれました。この方に任せておけば大丈夫という安心感しかなかったですね!」 旦那様「キクシマさんは意匠性を気にしてくれるので、作り上これは出来ない・・とかは無く、設計通りをきちんと実現してくれました。また、現場監督さんは、どんなに夜遅くても現場を綺麗にして帰られていて、同じように働く立場の人間として、その姿勢に感動しました。」

Q. 最後に、M様ご夫婦にとって「家作りで大切」と思う事をお聞かせください。

奥様「“施主がさぼらないこと”が大切です。家作りは、お金を出せば誰かが具現化してくれる訳ではなく、まず自分自身と向き合う作業じゃないか思います。その中で、自ら何かを調べたり、学ばないといけない。それをやらずに他人任せにしてしまうと、最後に“思っていたのと違う”となってしまう。プロが頑張ってくれるからこそ、自分が曖昧な要望を出さないよう、同じように努力する。建築家に工務店、そして施主が三位一体になることが必要だと思います。」 旦那様「まずは、諦めないことが大切です。普通の収入の一般家庭でも、素敵な家、大満足できる家は建てられます。金銭や時間的なことに理由をつけ諦めるのは簡単ですが、それをカバーすれば叶う夢もあります。そして、家が完成してから特に思った事ですが、人をしっかり見る事も大切。家自体は物ですが、それを作っているのは人です。私たちは、建築家の渡辺さん、キクシマの営業さん、現場監督さん、職人さんと多くの人と出会いました。その誰もが自分達にとって尊敬できる人でした。やはり人ですから、良いものを作るには、良い人間関係が大切です。もっとキクシマさんに家を建ててもらって、家作りの良さを伝えて欲しいですね!」

担当者から

M様邸は、白い壁の一方向だけに大きな開口があります。そこから望む桜や木々の借景は、モノトーンで統一された室内から映えて、美しい奥行を生み出しています。光があまり入らない1階はシアタースペースやバスルーム、光が溢れる明るい2階にはリビングやキッチンが広がります。それぞれの利点を生かし、季節でメインフロアを変えて住み分けるという柔軟な暮らし方を楽しめる作りとなっています。お二人は、土地探し、家のプラン、建築家、施工会社と、一つ一つの工程で調査と考察を重ね、ご自身に合うものを導き出して進めて行きました。それには膨大な労力と時間を費やしましたが、家作りを第3者に任せるのではなく、自分が作るという主体性と責任感を持って取り組まれました。自分自身と向き合っていく事で、本当に欲している物が分かり、良い家が生まれるのですね。“大満足”と充足感に包まれたお二人の笑顔は、諦めずに真摯に向き合った事の賜物ではと思います。M様ご夫婦、貴重なお時間と沢山のお話をありがとうございました!

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